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Qアスベストとは何ですか。どのような種類がありますか。A
アスベスト(石綿)とは、天然に産出する繊維状ケイ酸塩鉱物の総称であり、
蛇紋石系のクリソタイル(白石綿)と角閃石系のクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、
アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの6種類があります。
労働安全衛生法等の法令の規制対象となるアスベストについては、
厚生労働省労働基準局長通達(2006年8月11日基発第0811002号)において、「繊維状を呈しているアクチノライト、
アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライト」と定義しており、
アスベスト含有建材の判定はアスベスト含有量が0.1重量パーセントを超えるかを基準としています。 -
Qアスベストは法により区分や呼び名が異なりますが、
どのような関係になっているのでしょうか。Aアスベスト含有建材は発じんの度合いにより「レベル1~3」に便宜的に分類されています。
レベル1は、もっとも飛散性の高いアスベスト含有吹付け材であり、
建築基準法で規制されている吹付けアスベストなどが分類されます。
次いで飛散性の高いレベル2にはアスベスト含有保温材、断熱材、耐火被覆材が分類されます。
レベル3はそれ以外のアスベスト含有建材が分類され、
主にスレートや岩綿吸音板などの成形板の仕上げ材料が多くあります。 -
Qアスベストはどこにどのようなものが使用されていますか。A
アスベスト含有建材は、住宅や倉庫では外壁、屋根、軒裏等に成形板として、ビルや公共施設では梁・柱の耐火被覆、
機械室等の天井・壁の吸音用等に吹付け材として使用されています。以下に大きく分類されます。●鉄骨の耐火被覆材、機械室等の吸音・断熱材、屋根裏側や内壁などの結露防止材としての吹付け材
●鉄骨の柱、梁等の耐火被覆成形板
●天井等の吸音・断熱及び煙突の断熱としての断熱材
●天井・壁・床の下地、化粧用内装材、天井板、外装材、屋根材等の成形板
その他、建材以外でも自動車のブレーキ、高圧電線の絶縁材、各種シーリング材等に使用されています。アスベストが使われている家庭用品についての注意事項は環境省ホームページ
(アスベスト含有家庭用品の廃棄について)をご参照ください。 -
Q居室や通路を見渡しても露出した状態のアスベストは見当たりません。
健康障害をおこす飛散する恐れのあるアスベストはないと考えてよいでしょうか。Aアスベストらしき吹付け材料が露出しておらず、見た目では確認されない場合でも、
隠れたところに存在することがよくあります。例えば、天井裏や建物の外壁面などによく見られます。●内装仕上げ材の下に吹付け材が存在する例
〈商業ビル〉 グラスウール断熱材の裏、天井石膏ボードの裏(ビニールで被膜)、機械室でガラスクロスの下など
〈寒冷地のビル〉ウレタン吹付け下の吹付けロックウールなど
〈共同住宅〉最上階で天井ボードの裏など
〈スタジオ〉吸音用ウレタン穴開きマット下など
〈空調機械室〉グラスウール貼りの下など●アスベスト含有吹付け材の上からアスベストを含有しないロックウールを吹き付けた例
〈RC造天井〉部屋の一部に旧吹付け材があり、その後の設備改修時にロックウール吹付け材が施工された。
〈耐火被覆〉表層はアスベストを含有していないロックウールであるが、内側に旧工事のアスベスト吹付けがあった。
〈RC造スラブ〉天井で吹付け材が2層になっていた。
〈居室〉吹付けアスベスト材の上からアスベスト対策工事としてひる石プラスターが吹付けられてあった。他に3層の例もあった。●二重吹きの例
〈木毛セメント板〉下にアスベスト吹付け材が施工されていた。
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Qアスベスト含有建材が劣化するとアスベストが飛散するのでしょうか。A
長い時間をかけて物理的、化学的、機械的に繰り返されるダメージで製品の強度低下や損傷が起こります。
レベル1、レベル2のアスベスト含有建材は、その他のアスベスト製品と比べて特に繊維の露出が多く、
また硬度や比重が小さく単一では脆いという特徴があります。
このため粉塵が比較的飛散しやすく、少しの外圧で破損します。 -
Qアスベストを使用した建築物を解体する予定がありますが、法的規制はありますか。A
労働者のアスベストばく露防止の観点から、労働安全衛生法、石綿障害予防規則が適用され、
周辺環境へのアスベスト粉じん飛散防止の観点から、大気汚染防止法が適用されます。
これらの法令により、アスベストの使用の有無の事前調査、作業の届出等が義務づけられています。
また、解体により生じる廃棄物は、建設リサイクル法、廃棄物処理法に従い、適切に処理する必要があります。
なお、各地方公共団体の条例による規制がある場合はそれを遵守してください。 -
Qマンションや住宅の内装をリフォームする際、既存の建築物を解体するにあたり、
どのような材料や製品にアスベストが含まれているかわかりません、注意すべき点は?Aアスベスト含有建材の種類は多岐にわたっており、その飛散性もアスベスト含有建材の種類ごとに異なることから、
建築物ごとの環境リスクも使用されているアスベスト含有建材によって異なります。
建物改修工事に際してのアスベストの使用の有無の調査については、建築物所有者(発注者)や建築物の改修工事に
おける作業従事者(労働者)だけでなく、建築物の利用者や周辺の環境等への配慮も必要となります。
調査は調査者等アスベスト調査の専門家に依頼し、精確な調査を実施し、
その結果を反映した改修工事の計画を立案実行することが求められます。
なお、工事内容等によっては、地方公共団体や労働基準監督署等への届け出等が必要となることがあります。
(石綿障害予防規則第3条、大気汚染防止法第十八条の十七)国土交通省と経済産業省が共同で「石綿(アスベスト)含有建材データベース」を公表しています。
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Q建築物でアスベストが使われているか、どのように調べたらよいのですか。A
建築物を施工した建設業者又は工務店、あるいは分譲住宅等を販売した宅建業者に問い合わせ、
設計図書(建築時の施工図・材料表等)で確認します。ただし、アスベストの使用が記載されていない場合や、
後に改修工事や補修工事でアスベストが使用された可能性もあり、現地調査と合わせて調査する必要があります。
アスベスト含有吹付け材が規制された年代と建築年次、使用されている用途などによりある程度は類推できますが、
調査者等アスベスト調査の専門家(調査者等)に依頼することをお勧めします。
※令和5年10月1日より事前調査を行う者、分析を行う者の資格要件が適用されました。 -
Q建築物にアスベストが使用されているかどうかを調べる専門の技術者には国の資格があるのでしょうか。A
建築及びアスベストについて専門的な知識と技能を有し、アスベストの使用実態の把握が的確にできる人材を
育成することを目的として、2013年7月に建築物石綿含有建材調査者制度が創設されました。
この制度は、登録機関となるための要件を満たした機関が実施する講習を修了すると
「建築物石綿含有建材調査者」の資格が付与されるものです。 -
Q調査者とはどのような専門知識を持った方なのですか。A
建築物石綿含有建材調査者はアスベストに関する知識を有しているだけでなく、
建築物の調査に関する実務に精通しているアスベスト調査の専門家です。
アスベストに関してはアスベストが使われている建材に関する知識を有し、建材の採取方法や分析技術、
さらには分析結果の解析力があり、アスベスト含有建材の維持管理方法に関する知識を有しています。
また、建築物に関しては、意匠・構造・設備の知識の他、建材・施工手順・工法に関する知識を有し、
設計図書や施工図などを読み解き、必要な情報を抽出することができます。
さらに、アスベストのもたらす社会的な危険性を理解し、中立的な立場から精確な報告を行う力を有しています。 -
Qアスベストに関する法的規制はどのようなものがありますか。A
●建築基準法
建築物の最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図ることを目的として、
吹付けアスベスト等の建築物への使用禁止及び増改築、大規模修繕・模様替の際に除去を義務づけています。
ただし、増改築、大規模修繕・模様替の際の既存部分は、封じ込め及び囲い込みの措置を許容(※要件あり)しています。
●労働安全衛生法(石綿障害予防規則(略称:石綿則)を含む)
職場における労働者の安全と健康の確保を目的として、アスベストを重量の0.1%を超えて含有する製剤等の製造、
輸入、使用等の禁止、建築物の解体等の作業における労働者へのアスベストばく露防止措置等を規定しています。●大気汚染防止法
事業活動や建築物等の解体等に伴う大気汚染を防止し、国民の健康保護、生活環境の保全、
被害者の保護を図ることを目的として、建築物解体等の作業の届出、建築物解体等の作業基準
(吹付けアスベスト、アスベストを含有する保温材等の除去等)を規定しています。●廃棄物の処理及び清掃に関する法律(略称:廃棄物処理法)
廃棄物の排出抑制、適正処理等により、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的として、
廃石綿等を含む廃棄物の特別な管理等を規定しています。●宅地建物取引業法
建物について、アスベスト使用の有無の調査結果が記録されている時は、
その内容を重要事項説明として建物の購入者等に対して説明することを規定しています。 -
Q定性分析と定量分析の違いを教えてください。A
●定性分析
「アスベストの含有の有無を確認するための分析方法」であり、
どんな種類のアスベストが含有されているかを分析します。
公定法として「JIS A 1481-1」と「JIS A 1481-2」の2通りが定められています。●定量分析
「アスベスト含有が確認された検体で含有率を確認するための分析方法」です。
こちらは公定法として、「JIS A 1481-3」と「JIS A 1481-4」の2通りが定められていますが、
定性分析でアスベストが検出された場合、規制値である0.1%を超過している可能性が高いため、
アスベスト含有建材として適切な措置を講じれば、
必ずしも定量分析によるアスベストの含有率を求める必要は無いとされています。※以下をご参照ください。