
アスベスト事前調査報告書作成 DX化の意義
はじめに
アスベスト調査分析株式会社(以下、ARA)は、アスベスト事前調査報告書作成システム「アスレポ」を2025年1月にリリースした。このシステムは、現地調査も含め、アスベスト事前調査報告書を作成する一連のプロセスをDX化し、作業の効率化やデータの一元管理を可能にするものである。その背景と意義について解説する。
アスベスト事前調査の効率化が求められる背景
アスベストの健康リスクを踏まえ、工事作業者や住民の健康を守るために、近年、日本ではアスベストに関する法規制の強化が段階的に進められてきた。2021年4月から建築物の解体・改修時におけるアスベスト事前調査が義務化、2022年4月には事前調査結果の行政への報告が義務付けられ、2023年10月からは有資格者による事前調査が必須となった。
アスベスト事前調査は基本的に、書面調査に始まり、目視調査、試料採取、分析調査、事前調査報告書作成、そして報告という手順を踏んで進める必要があり、非常に手間と時間がかかる。一方、建設業界では人手不足や労働負担の増加が深刻な問題となっている。そのため、アスベスト事前調査報告書作成の効率化は、建築物の解体・改修に携わる事業者を中心に強く求められている。


業務を通じて培った知見を生かして開発
ARAではアスベスト事前調査の効率化・DX化に貢献するために、自社が積み重ねてきた調査業務、分析業務、事前調査報告書作成業務を通じて培った知見を生かし、アスベスト事前調査報告書作成システム「アスレポ」の開発を監修した。
〈アスレポサイト〉
アスレポは、アスベスト事前調査のすべてのプロセスを支援するシステムである。オフィスで使うPC管理ツールと、現場で使うタブレットアプリで構成され、両者のデータをクラウドを介して連携させて事前調査の各プロセスを進める。


DX化によって期待できるメリット
アスレポによってアスベスト事前調査のDXを進めることで、以下のメリットが期待できる。
■各種書類作成の効率化
アスレポはARAへの分析依頼書や、行政への事前調査報告に必要な各種書類の自動生成が可能。Gビズ申請用のCSVファイルも作成することができ、作業の負担と時間を削減できる。
■現地調査の効率化
現地での目視調査や試料採取の際、タブレットアプリで調査結果の登録が可能。写真撮影は電子小黒板に対応しており、撮影業務も省力化・効率化できる。
■正確性と品質向上
入力作業のデジタル化により、数値のご記入や記載漏れなど、人的ミスを防ぐ効果が期待できる。
■データの一元管理
図面・帳票をペーパーレスでデータとして一元管理できるため、関係者との共有も、過去の調査データの保存も、スマートに行うことができる。
さいごに
ARAではアスレポが建築物の解体・改修に携わる事業者に普及することを目指している。事前調査の精度向上や業務負担の軽減を図ることのできるシステムの普及は、アスベスト事前調査報告に関する法規制遵守の推進に寄与する意義もある。そのためARAではより多くの人にとって使いやすいシステム・アプリの提供を目指し、システムの改善や新たなアプリの開発に継続して取り組んでいる。
また、その他にも、顧客にウェアラブルカメラをレンタルしてアスベストの現地調査を遠隔サポートするサービスや、目視調査や検体採取に必要な知見・スキルを指導する現場実演セミナーなど、顧客のアスベスト事前調査を支えるさまざまなサービスを展開している。
〈アスベスト調査分析株式会社 「企画開発」ページ〉
https://www.chousabunseki.co.jp/plan#asrepo