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代表取締役 日比 裕己インタビュー

業界全体で向き合うべき、分析精度の課題

このカテゴリーではアス研を運営するアスベスト調査分析株式会社【ARA】にまつわる人へのインタビュー記事を掲載します。初回となる今回は、代表取締役の日比裕己に「会社の特長」「アスベスト業界の課題」「今後の展望」などについて話を聞きました。

「高精度」「一貫力」「対応エリアの広さ」が強み

――まずは設立から現在までについて、簡単に教えてください。

ARAはアスベストの調査・分析の専門会社として2021年に設立しました。4名でスタートし、現在は全国8拠点、35名(2024年2月現在)の仲間とともにサービスを提供しています。

――なぜ設立しようと考えたのでしょうか。

私はARA設立の前から、アスベストの除去工事を手がける株式会社マルホウの社長も務めています。事前調査から自社グループ内で行うことで、アスベストに関する一貫的・総合的なサービスを提供したいと考え、ARAを設立しました。

――設立した2021年は、アスベストの事前調査方法が法定化された時期ですね。

法改正に伴い、調査・分析のニーズが全国で急増することが予想されていました。その市場の広がりにアスベスト除去のプロとして役に立てたらと考えたのです。

――同業の事業者も増える中、ARAの強みはどこにあると考えていますか?

「高精度」「一貫力」「対応エリアの広さ」です。精度の高いアスベスト分析を行うには、高い知識・技術と経験が必要です。当社では経験豊富な有資格者が分析を行っているほか、全国でも20数名(※)しかいない「アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター」も2名在籍しています。

一般社団法人日本環境測定分析協会HP「JEMCAインストラクター」のページより


また、分析業務だけでなく、現地への出張調査・検体採取のサービスも行っています。さらに除去工事の作業計画策定、実際の除去工事まで、アスベストの各分野のプロが1つになった企業グループとして総合的なソリューションを提供することができます。こうしたサービスを全国8拠点で展開していることも大きな特長だと考えています。

――社風づくりについて、大切にしているテーマはありますか。

「楽しく働く」が当社のテーマです。趣味をしているときって、楽しいし疲れないですよね。それと同じで「仕事をやらされている」という状態では十分な力を発揮できないし、逆にやりたいことをしている人はものすごく可能性が広がると考えています。みんながやりたいことに意欲的に取り組む、そんな社風づくりを大切にしています。

分析者の技能を評価・管理する仕組みが必要

――アスベスト事前調査に関する法規制は、数年前から段階的に厳格化されています。この点についてはどのようにお考えでしょうか。

一般論として、かつてはアスベストの有無を確かめる事前調査が不十分なまま、解体・改修工事が行われるケースもあったと思います。事前調査の厳格化は、解体・改修工事を行う現場の方々を健康被害から守る第一歩となり、良い傾向だと感じています。将来もアスベストに関する法改正は続いていくはずなので、私たちも法改正をする側にいられるような企業をめざして、ステップアップしていきたいと考えています。

――法改正をする側ですか。

法改正を実際に行うのは立法府である国会ですが、その過程で環境省や厚生労働省が、有識者による会議を開きます。アスベストに関する問題について、有識者の一員として提言ができるような企業をめざしていきます。

――いま、アスベスト業界が抱えている課題は何でしょう。

業界全体における分析の精度に懸念を持っています。アスベスト分析機関や分析者の技能を評価・管理する仕組みがいま、この業界にはないのです。分析者となる要件を満たすための資格試験はありますが、そこで身に付く知識・技術はあくまでも初歩的なものです。本来、分析者として一人前に育つには最低でも1年はかかるんですよ。同じ有資格者でもそこには大きな能力差があります。

経験不足の分析者による不正確な分析結果が出ている状況が業界にあるとしたら、当然、是正しなければなりません。分析者の技能を評価・管理する仕組みを私たちが立ち上げてもよいですし、日本作業環境測定協会や日本環境分析測定協会はもちろんのこと、NADA(一般社団法人 日本アスベスト調査診断協会)やASA(一般社団法人 建築物石綿含有建材調査者協会)が整えていただけるのであれば、それはそれでありがたいと考えています。

事前調査の実務をさまざまな形でサポート

――これから特に取り組んでいきたいことは。

お客様が行う調査業務のサポートに力を注いでいきたいと考えています。

2023年10月からアスベストの事前調査は、有資格者が行うことが必須となりました。私たちのお客様である建設会社や解体工事会社においても、社内で資格取得を進めているケースはたくさんあります。世の中全体においてアスベスト調査の有資格者はどんどん増えていくでしょう。

しかし分析者の資格制度と同様、調査についても資格取得を通じて最低限の知識は身に付けられますが、それだけでいきなり実務を行うのは容易ではありません。目視調査で各建材を確認する際、どのようなところに注意した方がよいのか。どうしたら安全に検体採取を行うことができるか。こうした実践的なノウハウは経験豊富な人から教わることが重要です。

当社ではお客様が行う現地調査に当社の調査スタッフが同行し、現場で培ったさまざまな知識を提供しています。また、通話機能が付いたウェアラブルカメラをお客様にレンタルし、現地調査を遠隔サポートするサービスも始めます。映像を見ながら「ここから裏側を覗いてください」「ここから採取してください」と調査スタッフがお客様を遠隔でサポートするわけです。

――経験が不足している調査者にはうれしいサポートですね。

ほかにも事前調査報告書の作成を効率的に行うことのできるアプリの開発を進めています。さまざまな形で、今後急増するアスベスト事前調査の有資格者の力になりたいと考えています。

――では最後に、ARAの目標を教えてください。

法規制の厳格化が進む中、アスベストの調査・分析の需要が今後も伸び続けることは間違いありません。需要拡大の受け皿となれるよう、さまざまな形でお客様を支えるサービスを提供し、大きく成長していきたいと考えています。

マルホウはアスベスト除去工事において日本トップクラスの企業に成長したと自負しています。ARAが取り組む調査・分析業務も、日本一をめざしていきます。

Author
アスベスト調査分析株式会社分析 担当 アス研編集部
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アスベスト調査分析株式会社【ARA】
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